面談を通して部下の悩みの本質を探る

ある時、とてもホスピタリティに溢れた販売スタッフで、面倒見が良く、経歴も長く、安心感がある方がいました。しかし、現状の職場でモチベーションが上がらないと言います。現状の仕事でありのままを出せない苦しさを持っていたようです。   彼女は一体どんな悩みを抱えていたのでしょうか??   

メンバーが抱えていた悩みの「キーワード」を探る

  《現状の悩み》
・モチベーションが維持できない
・成績が上がれば利益につながるのだが、私は何が変わるのか?
・やりがいが見つけられない

個人面談をしてみてようやく、上記の内容が出てきまし。
なぜその悩みが出てきているのかを知る必要があるため、もう少し深く入っていくことにしました。

個人面談で大事なことは「キーワードを見つける」ということです。
このキーワードというのは、その人の「価値観」がギュッと詰まっている「リソース」でもあります。 ここをブラッシュアップしていくことで、「本音」「本心」「本当はこうしたい」という部分に辿りつきます。今回もキーワードを見つけることにより、彼女が抱えている問題が現れてきました。

《彼女のキーワード》  
・今の役割は「実績をあげなくてはいけない」場所
・個人個人の実績
・個人実績表は出来ない人の吊るし上げ
・競争

これをまとめていくと

『自分は数字を上げなくてはいけない。個人個人が数字を上げないと競争から遅れ、出来ない人は吊るし上げになる』というのが、当時彼女が感じていた職場であり、これがモチベーションが上がらない理由になっているようでした。

周囲から見た事実と悩みのズレ 

しかしそれは全部、彼女の「思い込み」でした。  
彼女に与えられていた役割は実績をあげなくてはいけない!という場所ではなかったのです。

なにより彼女の強みは「人より優れたホスピタリティや安心感」でした。 これを活かすことが本来の彼女の役割だったのです。

確かに現状の環境では個人の力に頼るような環境であったことは間違いないでしょう。 ですが、最終的には実績を上げるのは個人ではなく「チーム」であるべきです。  

個人個人の実績「だけ」では必ず「勝ち負け」が存在してしまいます。 そして「勝った人」だけが優越感を感じ、「負けた人」には劣等感を感じてしまいます。 「負け続けた人」というのは、勝負する前から諦めるという構図が出来上がっている訳です。   適度な競争はモチベーションを上げてくれますが、競争のみになってしまうとモチベーション低下を招きます。    

上司による面談で「悩み」を「チャレンジ」に変えられる

面談を通して彼女は「競争」だけでなく「協力」という部分について新しい発見が出来たようでした。自分の強みを活かした役割を行いつつ、自分だけでなく他の社員が働きやすい環境にするよう「協力」出来る環境作りを行うと涙ながら宣言していた彼女が印象的でした。      

こんな風に、一人一人の悩みや問題を引き出し、紐解いて、未来へのチャレンジにつなげる。 面談は、リーダーに求められる仕事ではありますが、実際の現場では、時間が取れない/リーダー自身に余裕がない/信頼関係が壊れてしまっている/など、問題が山積みです。    

ですが、チームメンバーも苦しんでいます。 特に販売や営業等、サービス業に携わる人は、「競争」という世界に身を投じることが避けられません。時間や余裕がない中でも、少しでもその「苦しさ」を理解してあげること、これが本当に大切ですね。      

職場のコミュニケーションを活性化させる方法

現場マネージャーと共に悩み、試行錯誤してきた6年間の人材育成におけるコミュニケーションノウハウを、実際の取り組み事例とともにご紹介。具体的な取り組み方や部下との関わりがうまくいかない理由、コミュニケーションを良くするための2つの前提など、「読めば明日、何をすれば良いかがわかる」37P資料を無料で公開中。