チーム創りコラム

「ついていけない上司」にならないために

不動産の営業会社にいた頃、直属の上司が3人変わりました。

最初は、緻密な戦略を立てる頭脳派上司でした。だけど物静かで温和な人柄のおかげで誰からも慕われるタイプで、当時の職場では非常に珍しくIT関連にめっぽう強い。
好奇心旺盛だった新人の私は上司にたくさんの質問を浴びせまくり、それでもわかりやすく深いところまで教えてくれたおかげでどんどん面白くなっていって。当時の職場内では「パソコンのことなら伊藤に聞け」という評価をいただけたのも、この上司のおかげでした。

2人目の上司は、言うなれば「現場派」の上司。プレーヤーとしての優秀さを買われて管理職に昇進してからは、異動する支店の実績をことごとく改善していく力のある人でした。
決して「自分の営業力」で支店の実績を上げていたわけではなくてね。普通は部下がやるような雑用を自ら進んでこなす姿や、得意の交渉事や商談の手柄のほとんどを、部下に渡す姿を見せてくれる。そういう姿を見て、私も他の同僚も自然に「この人についていきたい」と思え、チームワークが生まれました。
彼が任された支店の大半が実績の大幅向上という結果になる秘訣は、管理職である自らが率先して現場の仕事を請け負う姿を見せることで、チームワークを作るのが上手だったということだと思います。

そして3人目。この方は前任の管理職が作った高い実績やチームワークをあっという間に崩壊させた人でした。
管理職というイスの上にあぐらをかいて仕事は全て部下に丸投げ。自分のやりたい仕事だけは率先して「ほら、私がやっといたから」と言うけれど、やりたくない仕事は「やっているフリ」をするのが上手で外回りに行くと言ってサボっているのも見え見え。交渉に失敗して尻拭いをするのは部下で、執拗に実績の低迷を責め立てる。
叱られる言葉はひとつも頭に入ってこなかったのを覚えています。

 

上司の姿で、発言で、指導で、部下の人生までもが変わってしまうことは往々にしてあります。いい意味でも、悪い意味でも。

何が優秀な上司なのか?ということを論じたいわけではないけれど、少なくとも「こういう上司の下では働きたくないな」と感じさせるのは決まって、自分のことしか考えていない(ように「見える」)発言や行動なんですよね。

ここも難しいところだなぁと思います。
悪い事例として取り上げてしまって申し訳ないけれど、営業時代の3人目の上司は「支店の実績を、メンバーを、いつも第一に考えている」と常々言っていました。彼の中では、それは事実だったのだと思います。

みんなで食事をしようと自宅に招き入れてくれたり、バーベキューを企画してくれたり…と、部内のコミュニケーションを大切にしていてそれはそれでありがたかったけれど、求めていたのは、そこじゃない。

どんなに努力や工夫をしてくれても、全てが独りよがりにしか見えなくて、彼の一言一言が、一挙手一投足が、「自分のため」一色に染まっているように「感じられた」のが部下にとっての事実。
ついていきたいとは、到底思えませんでした。

そういう意味では、1人目、2人目の上司は、仕事を真摯に受け止めて、部下に、職場に良い影響を与えようと奔走する”姿勢”を見せてくれていたように「感じられ」ました。上司たちが持っていた素晴らしいスキルや能力などよりも、その姿勢の方に「ついていきたい」と思えたんですよね。

「部下のことを、全体のことを”本当に考えてくれているんだな”」と思わせる力。
だからこそ、助けたいとか、一緒に目標を目指したいと思えたのだと思います。

 

全員にわかってもらえる完璧な上司である必要なんてありません。
実際に私が見ていた1人目、2人目の上司への評価と、他の人が見ていたそれは、全く同じとは限らなかった。もっと言えば、3人目の上司に対する評価も、おそらく人によっては良いものだったりするのでしょう。

「どんな風に見られているのか?」を考えた時、自分のことはちょっと脇に置きひたすら前だけを見て目の前の仕事に真摯に向き合う「姿勢」を部下に見せ、寄り添い、励まし、引っ張り、守る。こういう姿を、部下は見ているんです。

そして上司をしっかり見ている部下の中には「そういう上司ならついていきたい」と感じる人が必ずいるはずなんですよね。

 

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