チーム創りコラム

接待のお店選びでわかる「段取り力」の一流と三流の違い

ワイングラスが並んだテーブル

仕事をしていると、上司や取引先との会食や接待を任される機会があると思います。
お店選び、これがなかなか大変です。かなり苦労されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私も若い頃は渉外担当をしており、交渉や契約、取引などを成功させるための事前準備、いわゆる段取りに頭を悩ませていた時がありました。『段取り8割』の言葉通り、成功のカギを握る非常に重要な部分になってきます。

さらに言うならばお店選びで、その人の『段取り力』が三流なのか一流なのかが分かってしまうものなのです。

お店選びの段取りは「スマホで完結」では足りない

お店を選ぶ時にはさまざまな背景を想定します。どんな交渉なのか?会食なのか接待なのか?取引先はどんな人なのか?何が好みで何が苦手なのか?高すぎず、安すぎず、高級すぎず、大衆すぎず。料理の味だけではなく、店内の雰囲気、店員さんの接客レベルからビールグラスは綺麗か?使っているお酒は?などまでついつい厳しい目で見てしまいます。

完全な職業病ではありますが、これらを加味してのお店選びはバランスが難しく苦労しました。
また、自分で足を運んだり、知人や友人の評判を聞いたり、お店の外観の雰囲気と自分の鼻を頼るしかなかった昔は、そうした面での大変さもありました。

今は便利なスマホがあって、ちょちょちょっと検索すれば簡単にいいお店が見つかる、と思いますよね。
店内や食事の写真も見られますし、値段、アクセス、口コミ、評判、更に予約可能日や時間まで…これならお店選びなんか楽勝と思われがちです。

それでも、もっと早くにスマホが登場していたら、お店選びで苦労しなくて済んだのに…とは、全く思いません。残念ながら、全く思っていないのです。

大事なことなので2回言いました。

簡単にネットで調べられる時代ですが、今でも私はお店を選ぶ時にネットを頼りません。厳密に言えばネットで検索はしますが、それだけで選ぶことはしないという事です。

三流の段取りで大失敗した苦い経験

商談成立で取引先も上司も自分も笑顔、会食に使ったお店も売上が上がって全員がWINWIN。会食とは本来これが理想です。そして叶うかどうかはお店選びの段取りが一流かどうかで決まります。

当時20代だった私はある苦い経験を通してそれを知ることになりました。つまるところ、お店選びの「三流の段取り」で成功を逃したのです。

自信満々の商談だったはずなのに…

ある時、大きな商談を任されることになりました。
その頃の私は売上実績、成約実績共に社内トップで自信に満ち溢れていました。トークも冴え渡り、頭の中で言葉がどんどん溢れてきていましたので、どんな商談でも相手が誰でも結果に結びつけるイメージしかありませんでした。

いよいよ商談も大詰めとなった日、取引先の社長と会食へ。
地元でも評判の良いお店をセッティングし、あとは社長を口説くだけでした。もちろん、自信満々です。
社長の表情や言葉から手応えを感じながら会食は無事に終わり『これで○千万の売上。また1つ実績と勲章が増える』と勝利を確信し喜んでおりました。

さぁ、成約した後はまた忙しくなるぞ!と思っていた数日後、取引先の社長から連絡が入りました。
勢い良く電話に出ると『今回の話は無かった事に』初めて聞いた外国語のように全く意味が分かりませんでした。
正直言ってそのあと何を話したのかを覚えていないのですが、自信満々だった商談が破談になった瞬間でした。

「君の底が見えてしまった」取引先の社長の一言

会食の時のことを何度思い出しても、落ち度という落ち度は見当たりませんでした。
何がダメだったのだろう?悶々とした日々を過ごしていましたが、とうとう我慢できずにその社長にアポイントを取ることにしました。足りないところを聞きだして今後の商談に活かしたかったですし、あわよくば再チャレンジする機会を頂きたいと思っていたからです。

そして当日、気合いを入れて社長のもとへ向かいましたが、その気合いは再び木っ端微塵にされてしまいました。

社長曰く、プレゼンも商品も商談のお店も私の人間性も問題はないとのこと。
でも『君の底が見えてしまった』『今後お付き合いするとなると正直、信用性に欠ける』とおっしゃるのです。
今まで言われたことが無かった言葉にショックが大きすぎて何も言葉が出てきません。あれだけトークや切り返しには自信があったのに…

2つの質問に対する答えで本質を見抜かれていた

困惑している私を見かねた社長が食事に誘ってくれました。場所は近くの居酒屋でした。
そこで社長は私にこう尋ねました。
『会食の時、私が仕事以外の事で2つばかり質問をしたのを覚えているかい?』

もう一度、会食の時を思い出します。質問された2つ…質問された2つ…ようやく思い出した社長のセリフ
1つは『トイレは何処かな?』
2つ目は『このお店のオススメの料理は?』
実は、この2つの質問に対する私の対応で、破談になってしまったということなのです。

それでもまだ答えを導き出せずにいた私を見て、社長はお酒を呑みながらゆっくりと話し出しました。
『ここのお店はね、これが本当に美味しいんだよ』
『大きな仕事の前や、仕事が上手くいった時には、これを肴によく呑んだんだよね』

そう笑顔で話す社長の元に、大将が『これ、良かったら食べて下さい』と一品運んできました。
お酒が進む美味しさだった大将の料理をいただくうちに、ようやく全てのパズルが繋がってきた気がしました。
そういえばあの時の私は商談を成立させる事に全神経を使い、地元の評判だけを頼りにお店選びをしていた。
そうか、社長が言いたい事はこれのことかもしれない…

何が三流で、何が一流なのか

私の心中を察したかのように社長がこう言います。

『大切な商談や、大切な人をもてなすのに、自分が行った事もないお店に招待は出来ませんよ。
それは誰でもできる三流の仕事です。
自分の目で、耳で、舌で感じて、オススメできると確信を持ったお店に招待する。
これは、ちょっと気が利けばできる二流の仕事です。
そしてさらに招待後にお礼も兼ねて再びお店に出向き、お店との信頼関係も結ぶ。
これが一流の仕事です』

もう、何も言葉が出ませんでした。あわよくば…なんて思っていた自分が恥ずかしくなってきたからです。

商談や契約のプレゼンばかりに気を取られ、自分も知らないお店に招待。何が美味しくて、何がオススメなのか、お店の作りさえ知らないところに大切な相手を呼んだのです。「もてなす」という精神は、かけらもありませんでした。
そりゃぁ、薄っぺらいと言われるし信用性に欠けると言われても仕方のないことですよね。

手痛い失敗の1件でしたが、あれから10数年経った今でも、その社長には色々と学ばせてもらっています。

人の心を動かすところまで段取る

今は便利な世の中になり何でも効率で作業が行われてしまいがちですが、どこまでいっても人間対人間の関わりは無くならないはずです。そして人間には機械には無い『感情』があります。

人の心を動かすのは何か?と考えていけば、いくら便利な世の中になったとはいえアナログな行動も絶対的に求められてきます。相手の感情に関する情報は検索サイトに答えが載っていないからです。

関わる全ての人を大切にするための段取り。私が失敗を通して知った一流の考え方のはそこでした。
たかが商談のお店選び、ネットだけに頼らないお店選びは時代遅れと笑う人もいるかもしれませんが、一流の人にはやはり、一流の考え方でなければ通用しないのです。

細かいところにまで気を配り、視野を広く持ち、人を大切にする、そんな一流の段取りができる人でありたいですね。

 

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