チーム創りコラム

いいお店創りは「ブランド化プロジェクト」で決まる

画面にブランドと書かれたパソコン

採用をしても育つ前に離職してしまう、優秀な人ほど辞めていってしまう。
仕事に意欲が見られず不平不満が多い、「やりがいがない」「つまらない」といったセリフを耳にする。
以前よりもお客様が減ってきたような気がする、接客対応が雑でクレームをいただくことが多い。
そして…業績が上がらない。

働く人と成果にまつわる「お店のあるある問題」を挙げてみましたが、こうした悩みを抱える販売店にはある共通している課題があります。
それは、「どんなお店にしたいのか」というテーマがない。
もしくはテーマを掲げていても、お店に関わる全ての人にまで浸透していない、ということです。

もちろん「目標」は掲げているはずです。売上目標はその顕著な例。
ではみなさんのお店は「売上を上げるためだけ」に運営しているのでしょうか?

目標と目的は違います。「何のために仕事をしているのか」「何のためにこのお店は存在しているのか」というテーマがそこで働く人に伝わって初めて「もっとこうしたい」といった意欲を生み、それがやりがいや面白さにつながっていくはずですし、テーマがお客様に伝わって初めて「このお店は他とは違う」「また来たい」「ここで買いたい」といった来店意欲・購買意欲につながるはずです。

それはつまり「お店を《ブランド》にしていく」ということになります。ここで言うブランドとは「他とは違う独自の取り組み」を指します。
今日は、私自身がお客様の立場で利用しているある企業の事例から、「ブランド化」が働く人とお客様にどのような良い影響を与えるのかを考えていきます。

利用者目線での、ある都市銀行の「レベルの違い」

私の育った故郷には、いわゆる”都市銀行”と呼ばれる銀行が街の中心部に一つしかありませんでした。

自宅から車で30分。利便性を考え近所にあった地方銀行をメインバンクにしていましたが、やっぱりなんとなく憧れみたいなのがありましてね(笑)地元を出て仙台に拠点を構えた際、ついに都市銀行に新しく口座を開設したんです。

もしかしたら都市銀行はどこもこのくらいの規模なのかもしれませんが、ATMや窓口の数、行員の数もとても多く感じたし、常にたくさんの利用者が待合にいる状態。最初はただただ「都市銀行はさすがだなぁ」くらいの感想だったのですが、待っている間に行内を見回すうち「さすが」のレベルが全然違うことに気づきました。

「案内係」を重要視している姿勢が伝わる対応

まず、入口の自動ドアが開くと、制服をビシッと着こなしたシニアの殿方が2名、頭を深々と下げて「いらっしゃいませ」と声を揃えます。用件ごとに引く発券機の前には、重鎮というイメージがぴったりの女性の行員が2名、今日の用件を聞いて記入書類の手配や発券を手伝い、待合のソファまで誘導してくれるのです。

そして、窓口に呼ばれてカウンターの椅子に座る際には、また別の行員が窓口にサッと駆け寄り、発券機前で伝えた今日の用件を引き継いで、こちらが窓口で同じことを話す手間を省いてくれる。その連携は圧巻でした。

手続きが終了して帰る際には待合スペースにいる行員全員が、私が前を通り過ぎるたびに「ありがとうございました」のお辞儀。大口融資を受けるわけでも高額の金融商品を契約するわけでもないのに、ものすごく大切にされているのを感じて銀行を後にするのです。

しかも、毎度。いつどんな用件で行っても変わらない対応。
ホテルなどではありません、ここは銀行ですよ?と思わず言いたくなってしまうほど。
正直言ってそれまで使っていたどの金融機関と比べても、待合スペースの対応レベルの差は歴然でした。

かかるコストは「必要経費」だけじゃなく「必要投資」

確かに、尋常じゃない人件費がかかっています。
少なくとも入口付近のATMのそばに2〜3名、発券機から待合スペースに2〜3名、必ず行員が立っていて、それぞれが持ち場を大幅に離れることなく業務に集中し、新しく入ってくるお客様には必ず誰かが対応をする。それだけのリソースを確保できるからこその対応力の高さであるのは間違いありません。大企業だからできること、と言われればそれまでです。

けれど、利用者が持っている「一般的な金融機関のイメージ」を覆し「大切にされているんだ」と感じさせる対応をするために、そこにできる限りのお金と労力をかけているように思えてなりません。

発券機の前で「今日の用件はどのボタンを押せばいいんだろう?」と悩みながら自分で券を取り、「こんなに待っている人がいるから時間かかるだろうなぁ」とネガティブイメージを持ちながら、やっとの思いで窓口に呼ばれたら「そのご用件でしたら向こうの窓口で」というケースだってあってもおかしくない、それが利用者が持っている、”一般的な銀行”のイメージですからね。

また、扱っている商品がお金だから、という理由もあるでしょう。
お客様の大切な資産を扱うのだから、それにふさわしい対応でお出迎えするのは当然という考え方です。

ただ何千万、何億といった大金でなくとも、たった1万円ほどで新規に口座を開設するだけ、わからないことを聞きに行くだけの利用者でも、いつどんな用件で行っても同じ対応で出迎えてくれるということは、そこにあるのはやっぱり『自分たちは”普通の”銀行とは違うんだと伝えたい』という目的じゃないかな。

お客様を選んだり「一般的にはこう」とか「やりすぎでは?」のように考えたりせず、ひたすらに、他とは違うことを伝えたい…そのためにお金と労力を惜しまない姿勢が素敵だな、と感じたんですよね。

実際にはどうかわかりませんが、イチ利用者である私にはそう伝わっています。
だから「応援したくなる」つまりまた利用し、こうして良さを広めたくなる。これが「本当のファンづくり」ではないでしょうか?

「銀行の顔」を設け、差別化によるブランドを形成

ただ、たった1人が「お客様を大切にしよう」「店舗を差別化させよう」と思ったところで、頑張ったところで成し遂げられることじゃないはずです。

それにもしかしたら働いている行員の中には「なんでそこまでやらなきゃいけないの?」みたいに感じている人だっているかもしれない。実際に窓口の行員の対応は多少荒い部分もありました。

それでも、待合スペースを「銀行の顔」と捉えてそこでの対応レベルを格段に上げることで、ここの銀行が他所との違いを明確に打ち出したいと考えているということがハッキリこちらに伝わってきます。個々が持っているであろう多少の目的意識のズレも目立たず、行内全体が「他とは違う金融機関という評価」のために業務を遂行し、一人一人がその役割を果たしているように見えてきます。

それはきっと、そこで働く人がそれぞれ持っている、個別の意識や仕事観だけに頼っていない証拠じゃないでしょうか。「全体として」差別化を目指しているという印象が強く残るんですよね。

テーマを「プロジェクト化」し、全体に浸透させる

本当の意味での差別化はおそらく、その企業や店舗全体が『これが他とは違うウチのやり方です』と呼べる共通の目的を掲げて、その姿勢を貫き、しっかりとお客様に伝わるまで浸透している状態のことを言うのだと思います。

その”ウチのやり方”は間違いなく自分や他所を基準にしてはいないんですね。「普通はこうだから」「他もこうだから」では、お客様には全く伝わらないからです。

働く人ひとりひとりの想いや価値観は違って当然だから、そこに頼ったり言い訳にしたりしない。企業として店舗としてお客様を大切にする上でたったひとつ「他所とは違う、ウチはこう」という姿勢を伝えることで、どんなに同業他社が多くても、どんなに小さな違いでも、多少目的意識がズレたスタッフがいても、お客様からは「ここは他とは違うね」という評価をいただくことができるはずだからです。

こういう取り組みがお店の差別化やブランディングに繋がっていくんじゃないかな、と思っています。少なくとも私の現在のメインバンクは、私にとって他とは全然違いますから。

そしてその差別化された、ブランド化されたお店で働く人はきっと、サービス業に従事する者としてのプライドを持って仕事ができているはずだと思うんですよね。だから辞めにくい、続けたくなる。もっと上を目指したくなる、という連鎖が生まれます。

まとめ

・「顧客」をメインにした「テーマ」を掲げ、取り組みとしてプロジェクト化すること
独自性が大切ですが、それは何も他はやっていない目新しいものとは限りません。どこでも大切さはわかっているけれど継続できていないこと、浸透しきれていないことなども独自の取り組みとなりお店のブランドになっていきます。また目線を上げて規模を大きく(地域で1番、地方で1番、東日本で1番、全国で1番など)していくこともテーマの考え方のひとつです。

・かかるコストは「投資」と考え、諦めないこと
コストとはお金だけではありません。お店のメンバーに浸透させる努力、お客様一人一人に伝えていく地道さ、反発や不平不満などの価値観の相違を受け入れ対処する労力、社内間調整の工夫など、かかる時間や労力全てがコストです。「伝わらない」と諦めるのではなく「未来へ向けての投資だから」と考えられる人だけがブランド化を成功させられます。

売上を上げるためだけに働くのはつまらない。ましてや「売上を上げるためだけにあるお店」にはお客様は来ない。
働く人にも利用するお客様にも「魅力」となるようなテーマを掲げ、プロジェクトとして取り組むことで、人と成果の問題は解決していけるはずです。

そして私たちは、お店のブランド化プロジェクトを共に作るお手伝いをしています。

 

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