【共育】コラム

職場に足を踏み入れたら「役作り」をしましょう

撮影用カチンコ

チーム創りとはいわば「漫画の実写化」みたいなものだと思います。漫画はいわゆる理想や空想でから、それを実写化して成功させるにはキャスティングと役作りが必須になりますね。

もしも俳優がみんな役作りをせずに素のままで仕事をしていたら、その実写化は失敗作になります。
たとえば『銀魂』という漫画の実写化を見たことがありますか?役者の小栗旬さんがこれでもかというくらいしつこく鼻をほじっています。普段の小栗旬さんはきっとあんなに鼻をほじりはしないでしょう。しかし、坂田銀時役だったからこその演技、つまり役作りですよね。もしも小栗旬さんがが素の自分のままで演技していたら「こんなの銀さんじゃない」というブーイングが返ってくるはずです。

俳優は常にそんなことを考えながら役作りをしています。クランクアップするまでは自分の適役とは目も合わせないという人もいるほどです。それだけ、自分の演じる人物はこういう人間でこんな思考回路だろう、と考えているのです。

理想のチーム像とはもしかすると実写化する前の漫画の状態かもしれません。これを現実のものにするには、それぞれがチームの構成員としての役作りをしなくては成功しません。たとえ素の自分がAという選択肢を取る場面でも、自分の役割ならBを選ぶだろう、と考えることが理想に近づく第一歩ではないでしょうか。

そしてこれはチームを構成するメンバー一人一人にも当てはまるはずです。

「役作り」に徹するプロ意識が仕事にプライドをもたらす

有名俳優のように、誰もができることなら自分の仕事にプライドを持って携わりたいと考えるはずです。
「自分にしかできないこと」「誰にも負けない思い」「絶対に目標をクリアする意識」など、プライドにもいろいろな側面がありますが、仕事にプライドを持っている人に共通している特徴の一つは「プロ意識」ではないでしょうか。簡単に言うと、プロとして、仕事人としての「顔」を持っているということかもしれません。

働く人は誰でも「ONモードとOFFモード」や「仕事の顔と母の顔」など、毎日こうした”スイッチの切り替え”をしています。「そんな、表も裏もない」という方もおられるでしょうが、多少なりとも「違う一面」を持てるのが人間のおもしろい部分とも言えると思います。

個人的な話になりますが、私自身はどちらかというと意識的に「仕事モード」への切り替えをするタイプです。切り替えるスイッチを作っていて、私にとってのスイッチは「ヒールの音」です。心理学用語で「アンカリング」と言いますが、人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)と「うまくいった体験」とを結びつけることで、五感が働く時はいつでもその体験感覚を呼び起こせるという仕組み。アスリートがよく用いるイメージトレーニングの一種と言われています。

私の場合は、朝、玄関でヒールに足を入れて踏み出したとき「カツ」と音が鳴った瞬間にONモードに切り替わります。そうした理由から仕事の時は必ずヒールを履くように意識付けし、もう15年が経ちました。

そしてONモードに切り替えたら、次にすることは「役作り」と「演じきること」でした。

特に販売や営業の仕事をしていた頃は、売り場や訪問先に足を踏み入れたら、演者になりきることに徹します。自分に「プロの販売員」「プロの営業」という役名をつけて、役柄の設定をしっかりとイメージし、それを演じるわけです。職場は舞台です。舞台に上がったら、ただひたすら自分の思い描く「プロ」を演じることに徹します。

思い描く「プロのイメージ」は何よりも大切です。
営業や販売接客で求められる「プロ」とは、どんな時でもお客様の目線で物事を考えること。自分に与えられた役(割)をただこなすだけではなく「お客様が何を求めているか」を考え抜き、工夫し続け、実践するのがプロです。

販売員のプロであれば、遅くとも売り場に立ったら「プロの顔」をしてお客様をお出迎えする態勢を整えます。切り替えるタイミングは決して「お客様がいらっしゃったら」ではありません。プライベートで何があっても、上司や同僚との間に何があっても『お客様には一切関係のない』こと。当たり前のように思いますが、この「役作り」をして職場にいる人は意外に少ないように思います。

そうやって自分をコントロールし、いつでも最大限「お客様の目線で」物事を考え、言動を律しているのがプロではないでしょうか?それだけのリスクを背負っているから「プライド」が生まれるのですよね。

自信がないからこそ役作りをする

仕事とは「演じる」こと。
少し変わったやり方だと自分でも思います。

そうするようになったきっかけは「自信のなさ」だったように思います。
「素の自分」のままだったら仕事で失敗するだろうといつも怯えていました。だからこそ意識的に「違う自分を演じる」ことを選んだというわけです。

素の自分とは違う「仕事ができるモード」のイメージを描き、それをアンカリングで感覚として身につけ、演者に徹することで、自信のなさと戦っていました。幸いなことに、長いこと演じていたおかげでその役柄が板について習慣になってしまい、いつしか演じている役の方が「いつもの自分」になっていました。そうやって自信のない自分にさよならができたようにも思います。

また、お客様と接する販売や営業職は「見られる」という点でも役者に近いものがあると思います。お金を出してモノやサービスを買うという行為には、お客様が役者としての売り手をお金を払って見に来ておられるという意味も含まれていると思うのです。

お金を払ってまで、険しい顔の自信のない店員を見に来る人がいるでしょうか?
顧客満足にはそうした側面もあるはずですよね。

仕事でプライドも価値も手に入れる

プライベートを充実させるために稼ぐ、家族を幸せにするために働く。
もちろんそれもひとつの「プライド」だと思います。
ただ、そこにはどうしても『仕事<プライベート』という価値観の比重がにじみ出ているような気がします。

本来は『仕事=プライベート=(自分の人生)』という比重になるのが理想ではないでしょうか?仕事もプライベートも自分の人生の一部でありひとつのツール。同じくらいの価値と誇りを持てるようにしたいはずです。

プライベートに価値があり、家族に価値があるのなら、仕事にだって価値があってもいいはずです。そしてその価値は職種や業種、役職や報酬によって変わるのではなく、意識ひとつで変えられるものだと思います。

プロ意識は、仕事にプライドと価値をもたらします。
意識を育むためのひとつの方法として、プロの仕事人という「役」を演じるというのは、楽しみながら働くための工夫と言えるのではないでしょうか?

売れる販売員さんは少なからず「役作り」をしている

「この店員さんと話しているとなんだか楽しい」
「雰囲気に飲まれてつい買っちゃった」

皆さんもこういう経験をしたことがあると思います。

この時、その店員さんは「目の前のあなたを楽しませる」という点で大成功を収めたということになり、その結果、商品が売れたということではないでしょうか?楽しませるという役を自分に課し、それを演じているということになるんですね。

お客様に安心を与える『ハッタリ』

いつだったか、ある営業畑出身の経営者の方とお話をした時に「営業に求められることって何ですかね?」といった話題になって「やっぱ、”ハッタリ”じゃないですか(笑)」という言葉が飛び出てきた時には思わず笑ってしまいました。
大いなる共感。あまりにその通りすぎて、です。

多少の不安や予想外の出来事にも「大丈夫です」と言い切れるだけの自信。
この、魅せる自信によって取引先が…というより、面と向かって話をしているお相手の方が「安心」を得ることが営業には求められるからです。

もちろん、その不安や想定外にきちんと対応して初めて得られた安心は揺るぎないものに変わっていくのですが、ハッタリを使ってでも安心をさせてあげられる営業マンは、初対面でも「任せられそうだ」という信頼を得やすいという意味で成功者なのだということが言いたかったのです。

エンターテイナーになりきる人が売れていく

楽しませること、安心させること。
商品を、サービスを、自分を売るには、自分が提供するパフォーマンスで相手に何かを感じてもらう、という点で『エンターテイナー』としての役割を演じられるかどうかは、実はとても大切な要素だと思います。

ですが、素のままでその才能を持つ人なんてほんの一握りではないでしょうか。皆さんももしかしたら「エンターテイナーなんてそんな高度な技、持ってないし」と感じるかもしれません。ですが、いや、だからこそ、演じるのです。

自分が嬉しかった時、楽しめた時安心した時などの相手の表情や言動を盗んで、その通り真似てみることから演技の訓練は始まるのだと思います。人を楽しませることを演じる、”ハッタリ”を演じる、などエンターテイナーに「なりきる」ことに徹している最中は、売れる・売れないという結果については二の次になります。

つまり、いい意味で「売らなければいけない」という考え方から目線が外れるのです。

冒頭の店員さんはおそらく「楽しませよう」ということだけを念頭に置いて話す内容やジェスチャーなどを考えていたはずです。そして営業の”ハッタリ”も自信を魅せることでお客様に安心していただこうということを頭に置いているはず。

この瞬間は「売れるか売れないか」とか考えていないですからね。

接客エンターテイメントの役割は「伝えたい」「教えたい」「楽しませたい」

自分の利益を一番に考えた途端面白いように売れなくなります。これは販売や営業をやってきて心から実感したことの一つです。やっぱりどこでも言われるように、目の前のお客様のことを一番に考えられる人が売れていく。

そういう意味で自分に「自分はお客様を楽しませるエンターテイナーなのだ」「自分はお客様に役立つことを伝える(教えてあげる)エンターテイナーなのだ」と言い聞かせて、それ自体を楽しめるようになることはとても大事だと思います。昔から接客や販売、営業が「役者」に例えられるのもそういった理由があるのではないでしょうか。

一人一人が役作りに徹し、価値をお伝えしながらお客様を楽しませるエンターテイナーを目指す。
そうすることで、今は「漫画のような理想のお店」を描いているだけのチームでも、実写化できるチームを実現できるはずです。

 

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