20代社員の悩みあるある「失敗が怖い時」の取扱説明書

仕事を始めたばかりや慣れない仕事を任されたとき「どうしよう」と直感で思ってしまう。その直感は言い換えると不安です。
どうしようの中身は「失敗したら…」ということ。どうしよう?という問いに対して脳は常に「答え」を探そうとし、答えが見つかるまでずっと探し続けるからモヤモヤするのですね。

社会経験が浅く成功体験・失敗体験ともに少ない若い方の中には、失敗することを過度に恐れ、避けようとする方もおられます。避けるというのは「どうせやってもうまくいくはずがない」とチャレンジをしない、誰かの新しいアイデアに対してはとりあえず否定的な意見を投げる、など現状維持を好む傾向も含まれます。

そう考えると、失敗を恐れ消極的になっているのは何も若い方ばかりではありません。「最近の若い人は…」「うまくいかないのは○○のせい」などと嘆く管理職、リーダー、マネージャー、果ては経営者に至るまで、実に多くの人が安心安全の現状維持を(無意識に)選び、「そうは言ってもどうせ…」といろんなことを諦めてしまっていることに気づいていないのです。

「失敗したらどうしよう」を分解して対処する

「失敗したらどうしよう」と考えている頭の中には「失敗したときのことばかり」浮かんでいるはずです。

もし上手くできなかったらどうしよう?わからないことを聞かれたらどうしよう?もしかしたら怒られるかもしれない…誰も助けてくれなかったらどうしよう?もしかして…もしかして…という感じで、脳は自動的に答えを検索しようとする機能を持っています。

ただし、脳が検索をしても答えが見つからないと、我々は強制的に答えを作り出そうとします。これが「現実にそうなるに違いないと思い込む」こと。勝手に仮説が実現すると思い込んで凹んでしまうわけです。

「失敗するに違いない」という思考を書き換える

失敗するに違いない、と脳が答えを出しそうになったときは、この3つの「思考の書き換え方」で対処してみてはいかがでしょうか。

①不安材料を書き出す

「どんな不安があるのか」というのを書き出してみましょう。書き出すと頭の中で考えていることが自分の外に出ます。自分の考えがリスト化され、それを「見る」ことで客観的になれます。つまり、不安材料が明確化されるのですね。

この不安は誰かに聞けばいいことだとか、この準備をしておけば大丈夫かなとか、あれ?自分が勝手に考えてるだけだったなど、頭だけで考えているよりもかなり明確な「答え」が出てきます。答えが出れば脳は探すことをやめるのでモヤモヤがスッキリする、という仕組みです。

②こういうときこそリフレッシュ

そうは言っても、やっぱり不安は不安なんですよ…と言う時はやっぱりリフレッシュです。リフレッシュで必要なのは、気を紛らわせることだと思います。忘れちゃうくらいがちょうどいいのです。リセット、リセット。

ついでに申し上げると、リフレッシュするときには本当は体を動かすと効果的です。体を動かすことで脳が適度に刺激されます。刺激を受けた脳は「失敗したらどうしよう?」の答えを探すのをやめます。不安なときは動くことも億劫になりがちですが、ここは「えい!」と重い腰をあげてみてはどうでしょう?

③失敗してもいい!=別にいいじゃないか?と思うこと

書き出してもリフレッシュをしても答えが出ない。そうなったらいっそのこと、開き直りも必要です。

失敗することで「自分はダメなんだ…」と思ってはいませんか?しかもそれは実際に失敗したから、ではなくて、失敗したとしたらという仮説の状態にもかかわらず。命を取られるわけじゃありません。それに、自分一人だけの責任という仕事は存在しません(ちなみに、一人に責任を背負わせるような組織は「ダメチーム」です)起こるかどうかわからないのに「周りからダメな奴と評価されるに違いない」というただの妄想に囚われているから怖いだけなのかもしれないのです。

少し肩の力を抜いて「別にいいじゃないか」と開き直ってみましょう。この時、実際に口に出してみることをお勧めします。驚くほど気が楽になりますよ。

人から与えられる結果ばかりを求めていないか?

「周りからダメな奴と評価されるに違いない」といった思い込みに囚われるという話をしましたが、「評価」とはどういうものでしょうか?

例えば、私が猫の絵を描いたとします。
それを見て、Aさんは「かわいい」と言ってくれました。
ですがBさんには「なにこれ?超ヘタクソ」と言われました。

さて、上記に対しての「結果」とは一体何でしょうか??
文字通り『Aさんから「かわいい」と言われ、Bさんから「なにこれ?超ヘタクソ」と言われた』ということが、この出来事の結果です。同じ絵なのにも関わらず、Aさんからは高評価、Bさんからは悪評。こんな風に相手によって出る結果が違うということになります。

それなのに、多くの人はこの「他者から与えられる結果」しかも「悪い方の評価」を結果として捉え、それに縛られてしまうんですね。

結果に縛られることで被る弊害

評価とは、そのほとんどが他者から与えられるものです。そして「結果を出すことで周囲から評価されること」を仕事の成功や人生の豊かさと繋げて考えている人も多いと思います。

ですが、ちょっと待ってください。
結果とは人から与えられるもの…ということは、自分の人生の豊かさは「人から与えられるもの」!?
そんなバカげた話があるでしょうか。

結果が出せている間は認められ必要とされていると感じて自分を肯定的に捉えることができます。だから、もっと賞賛や評価をもらうため、もっと認めてもらうため、もっと結果を出さなくてはと頑張り続けていませんか?それでは次第に結果を出し続けることがツラくなってしまいます。

自信や責任感が強いほど、結果を出さないと自分の価値はなくなる、認めてもらえない、嫌われてしまう、笑われてしまう、ここに居てはいけない、必要されなくなる…のように考えてしまいがちです。それまで手に入れた自分の価値や評価は「結果を出すことで」手に入れられたと考えていたために、失うことを恐れ、強迫観念のようにまとわりついてしまうのです。

はじめから成果を出し、その期待を背負っていたか?

そういう時は一度振り返り、『結果が出る前はどうだっただろう?』と考えてみてください。

誰もが初めから賞賛、評価、認めてもらえることなんてありません。その時、自分はどうだった?苦しかった?ただ一生懸命に打ち込んでいただけではないですか?そしてそれを楽しんでいただけだった。結果に囚われず、ただ目の前のことに一生懸命取り組み、プロセスそのものを楽しんでいたところに結果がついてきたのではありませんか?

いつの間にか、周りの評価ばかりを気にしていた自分に気づくことができるはずです。

人がいないと成立しない結果を求め続けるのは自分の人生を人任せにしているのと同じ。それは本当の豊かさとは違います。心から楽しめること、熱中できること、没頭できることに時間と労力を費やすことで自分の手で自分の人生を豊かにするために働く。そこに「結果」は付いてくると考えていきたいものです。

「どんな視点」「誰の視点」で物事を考えているか?

このように失敗を恐れている時は「自分視点」で物事を考え、視野が狭くなっています。思考を書き換え、新たな視点を持つことが、失敗を恐れない自分になるためには必要です。

例えばリーダーになりたての頃、新たに複数人のメンバーをまとめる仕事を任されたような時。この時期には不安の気持ちから「自分は絶対正しい」「なぜ言うことが聞けない、やれないのだろうか」という感覚に陥りがちです。リーダーになった途端「人の上に立つ」「人をジャッジする」といった視点で物事を見てしまうんですね。

部下はロボットではありませんし、自分の欲しいものは相手の欲しいものとは限りません。ですから『どうすれば「やってもらえる」のか』を考えるのがリーダーの仕事になるわけですが、まず考えるべきは、視野を広げて『自分が正しいと思うことは「上」にとって正しいことなのか』という部分ではないでしょうか。

一口に「上」と言ってもいろいろあるでしょう。会社や社長、直属の上司、または取引先や関連部署、そして何より、お客様。
どの部分から切り取ってみても「正しい」と言えることはそう多くはないかもしれませんが、物事を見るときの目線を「上に上げる」という変化は、リーダーに求められる大事な要素です。常にここを意識しないとチーム全体がブレてしまいます。

チームは「1対1の関係」で考えてはいけない

自分は正しいはず⇒なのにどうして聞かないのか?ではなく、自分は正しいはず⇒それは誰から見て?と考えていきましょう。そうしないと、一番恐れている「誰もついてきてくれないという失敗」が待っています。

目線を上に上げるとは「自分と部下」「上司と自分」など、自分と誰かの1対1の関係で物事を考えるのを止めることが含まれています。自分の視点だけを貫いてチームを引っ張ろうとするのではなく「自分の考えは、上から見て正しいことなのか?」と考えることは、自分と部下(メンバー)との関係の中に、自分以外の誰か(上)を良い意味で巻き込み「上の視点」を基にしてメンバーと関わっていくためのひとつのやり方です。

失敗を恐れ、諦めそうになっている自分に気づいたら…

新しいことを見聞きした時、立場や環境が変わる時などは誰もが不安になって当たり前です。だからと言ってそれを避けたり、正当化していては、仕事は面白くならない、人生は豊かにならないと思います。

不安や恐怖に立ち向かうために必要なのは、いつでも「新しい視点」「新しい考え方」「新しい捉え方」です。
いくつになっても「自分の知らないことがある」という謙虚な姿勢を持っていれば、「誰でも最初は失敗するのが当たり前だ」と受け止めやすくなるのではないでしょうか。

職場のコミュニケーションを活性化させる方法

現場マネージャーと共に悩み、試行錯誤してきた6年間の人材育成におけるコミュニケーションノウハウを、実際の取り組み事例とともにご紹介。具体的な取り組み方や部下との関わりがうまくいかない理由、コミュニケーションを良くするための2つの前提など、「読めば明日、何をすれば良いかがわかる」37P資料を無料で公開中。