デキる上司ほど腹の底は見えなかったりしますよね

『細部まで気を配れるし視野もわりと広めだと思う。多少体調が悪くたって仕事は休めないのが当たり前。だからやる気のない部下や同僚、理不尽な上司、時にはわがままなお客様にもイライラしつい厳しい態度が…後でハッとして後悔する』

 『”できない自分”だなんて思われたくない!チームやお客様のことを常に考えて誰よりも勉強し、自分なりに努力をしているつもりなのにどうして結果が出ないんだろう』

真面目で向上心旺盛、周囲から「仕事ができる」と評価されている人ほど、「結果が出せなかったらどうしよう?」といつも不安で、思ったことを言ってしまったら人を傷つけてしまうと感じ、周囲と比べて「自分はダメな人間だ」と自分を責めていて、どうしてこんなに頑張っているのにモチベーションが下がるのかわからない。

もしかするとそういう悩みは、
・弱みを誰にも見せたくない
・自分の弱さを認めたくない
・弱さが表に出てくるのが何より怖い
といった「ドス黒いもの」を隠そうとしているからこそ生まれているのかもしれませんよ。

いわゆる「デキる人」が抱えがちな、人には見せたくないもの

以前に大きなミスをし誰かに迷惑をかけたことがあったり、近しい人を傷つけ罪悪感を抱えていたり、批判や否定をされ続けて自尊心が傷ついていたり。周りの人に自分を信じてもらうためには、結果を出さなければいけない、できる人でい続けなければいけない。弱みを見せたりしたらまた昔のように傷ついてしまうかもしれない、期待を裏切って周囲の人が自分から離れていってしまうかもしれない…何よりもそれを怖れ、避けているのです。

また、幼い頃から周囲の期待に応えることだけを考え続けていれば「ちゃんとしなきゃ」「強くならなきゃ」「何でも一人でできないと」と無意識に自分を追い込んでしまいます。

こうやっていつの間にか、自分に【枠】を作っているのですね。
「こうあるべき」という枠です。

ほんとうの自分は誰よりも周りの人の役に立ち貢献したいと思っているはずです。
実はそのために必要なのは、その【枠】から出る勇気を持つことですよ。

責任と自分の弱さとの間で、見えなくなっていた本心

ある働く女性から話を聞くと、彼女もやはり「デキる」人。周囲からは頼られ評価を得ているにもかかわらず、彼女本人は「弱さを見せないように強がってしまう自分」に疲れ切っていました。『結局「人から嫌われるのが怖い」ということなんですよね』と。どんなに強がって見せていても腹の底ではいつも不安。 不安が表に出てくるのが怖い。頭でも心でも常に弱さと葛藤していて、バレそうになるのを必死に抑え込んでいる。けれど実際にはイライラや焦りとなってじわじわ表面化していたことに気づけたようでした。

その腹の底にあるドス黒いものと向き合わなければいけないタイミング。「逃げてたらこの先進めない」といよいよ自覚し、数年がかりのビッグプロジェクトでしたが、昔とは違う「自分らしさ」を作り出すことに取り組みちゃんと乗り越えられました。

新たな枠は自由でラクで心地よい。以前のような「いつ弱さがバレるんじゃないか」といった不毛な戦いはもういらない。以前に考えていたのとは違う視点に立ち、ほんとうの意味で「人の役に立ち、貢献できている」と感じられているようです。『弱さと向き合わなければ進めないと覚悟を決めて本当に良かった。まぁ最初は怖かったですけどね』と、後日笑いながら話してくれたのが印象的でした。

今、考えている「ラク」は本来味わえるはずのラクとは違います。
今、感じている「苦しみや恐怖」は本来味わう必要のないものです。
そのためには、腹の底にある、自分を傷つける凶器を取り出してしまえばいい。得体の知れないドス黒いものと戦い続けるんじゃなくて、もっとラクに考えていいと自分を許してあげる必要があります。もっと自分の能力を生かしたいと思うならば、弱さを受け入れることで本来の自分らしさを取り戻すイメージが大切です。

もう少し「相手の背景を想像する優しさ」があっても良いのでは?

こんな風に人は、見た目や言動でわかるほどシンプルではないのかもしれません。
上記の彼女の例で言うならば、仕事ができることや彼女の物言いなどから「怖い人」「強い人」「しっかり者」というイメージを抱かれやすいはずですが、実際には見えないところで怖さや不安を抱えていたわけです。

「腹の底が見えない」という事実には、何かしらの背景があります。

いつもツンケンしているあの人も、腹の底では不安なのかもしれない
いつも何を考えているかわからないあの人が、頭の中では未来にワクワクしているかもしれない
いつも自分の正しさで人を攻撃しているあの人も、腹の底では指摘を恐れているのかもしれない
いつもだんまり自己主張のないあの人が、心の中では誰かを思う強い気持ちを持っているのかもしれない

もう少しだけ、周りの人の「背景」を想像し、その言動に隠れた「ほんとうの理由」がわかれば、関わり方も変わってくるのではないでしょうか?職場の上司部下の関係に問題がある時、その要因は、コミュニケーションや「相手を想像する」ことの欠如が思い込みを生み、関係を悪くしているケースがとても多いです。

「腹の底が見えない」ならば、「腹の底を知ろうとする」努力も必要です。
職場の雰囲気は、コミュニケーションをベースにした「相手を想像する力」でガラリと変わります。

職場のコミュニケーションを活性化させる方法

現場マネージャーと共に悩み、試行錯誤してきた6年間の人材育成におけるコミュニケーションノウハウを、実際の取り組み事例とともにご紹介。具体的な取り組み方や部下との関わりがうまくいかない理由、コミュニケーションを良くするための2つの前提など、「読めば明日、何をすれば良いかがわかる」37P資料を無料で公開中。