メンバーが主体的に考える「高いチーム力」を創る4つの秘訣

突然ですが、「チーム力」って何でしょうか?
チームとしての総合力、集合体の力というニュアンスで捉えるといろいろ要素はあると思いますが、チームとは個人が集まった組織であり、構成するメンバー、リーダーそしてチームが所属する会社、関係者が必ず存在します。

「チーム力の高いチーム」は、メンバーが声を上げ、リーダーがその声を拾って上や関係各所に提案/プレゼンし、十分熟慮された決定事項をリーダーがメンバーに伝えてメンバーが実行する、といった「メンバーが自主的に考えるチームとなる仕組み」がしっかり整っていると思います。

チーム力を高めるのに必要なものとして、いつも4つの切り口を見ることが多いです。
どういうことかひとつひとつ考えていこうと思います。

チーム力を高めるのに必要な4つの秘訣

上司部下間で対話が成立する信頼関係

リーダーが中心となって上下や周辺との風通しを良好にしている環境であり、上からの指示ばかりではなく、下からの不満ばかりでもない、双方の考えが上手く伝達できる環境が整っていると感じます。

下からの声を拾う、というのは最初のうちはやはり「不満や愚痴聞き係」に徹することから始まるのかもしれません。部下の不満の解消が先決になります。

いくらチーム力を高めたいとは言え、いきなり部下に「チームが良くなるための案を考えてくれ」と伝えたところで不満がある部下はいいアイデアを持っているものでしょうか?もし持っていたとしても「案を出す」という行動には至りません。だって、不満があるのですからね。不満が解消され「自分の意見や考えをリーダーは聞いてくれる」という信頼関係ができて初めて「チームとして」何が良いのかを考えることができるのだと思います。

だからこそ、まず考えてもらうのは「現状の問題を解決するための案」です。

ところが「不満を聞き出す」ことに苦労することがあります。何か抱えていたり、思うところがあるはずなのに「部下が話してくれない」…これはまだ「対話が成立するための信頼関係」ができていない状態と言えます。上司の方から自己開示をしたり、雑談に大部分の時間を割く1on1ミーティングを繰り返したり、日常の些細な声かけなどの積み重ねで、部下が「話してもいいと思える関係」を作るところから始めなければいけないでしょう。

その上で、評価制度や人事、必要なルールなど、普段部下が「こうだったらいいのに」と考えていることを出してもらうことが大事です。

考える上で、部下が「こうだったらいいのに」と思っていることがどうして思うようになっていないのか、またどうなれば良いのかを理解するのを助けていきます。こうして部下は徐々に「考える力」をつけていき、次第に「チームにとって良い提案」を自主的に考えられるようになるのです。

言われたことをやるだけのような実行力ではチームの成長は限られます。
同じ実行力でも「自分たちで考えたことをやる」
何が「良い」かを考え、提案し、承認をもらって、それを実行できて初めて結果を検証し、次の考えや行動に繋げることで成長していくものではないでしょうか?

部下が主体的に考えるのを支援するためには「上司との対話」が必須です。
そして対話には「話してもいいかと思える信頼関係」が前提にあります。

何が不満で何が満足かを正しく把握

部下に不満やストレスがある状態で、いい案を考え、案を出すことを求めるのはまず不可能です。考えさせるために必要な条件は部下が満足していること。そのためには「何が不満で、何が満足か」を上司も部下も正しく把握することが大切です。

一般的に従業員満足と言えば、会社が整えるものと考えられがちです。福利厚生、人事考課制度、適切な評価、報酬、休日、勤務時間…こういった制度を敷くのはやはり会社です。
ただこうした「制度」さえ整えば本当に「満足」するのか?というと、面白いことにそうとも限らないんです。

たとえば弊社が実施する「職場環境サーベイ」などを見ると、休みも給料も評価もさほど不満はない、それなのにパフォーマンスが上がっていないという結果が出ることがあります。別のところに不満があるということです。つまり「現場の不満をいかに減らせるか」という視点で環境や制度を捉えないといけないということなのです。

報酬、手当、評価、昇進など部下が不満を抱えている内容が会社の制度にあるならば、検討したうえで、上に改善を提案する。
部下の抱えている不満が職場の人間関係や仕事の進め方や役割などにあるならば、率先して介入・改革する。

現場レベルでの不満の解消・満足の向上にリーダーが先頭に立って励んでいくことで部下の不満が解消されて、部下個人の問題だけでなくチームはどうすれば良くなるのかと考えられるようになっていきます。

そのために必要なのは、本当の意味での不満・満足はどこなのか?をメンバーと一緒に考えること。その手段は「対話」になるはずです。

モチベーションが高まる仕組みを理解する

部下のやる気やモチベーションを高めるための魔法があるのなら、あなたも知りたいと思いませんか?

根底にある考えは、今までも何度か記事にしたかもしれませんが

自分がこうしたいと思うことを自由に、制限なくやれた時に人はワクワクを感じ、そこに自分が思う成果が現れた時に人はやりがいを感じる

という考え方がベースです。

自ら進んで「これをやりたい」と決め思うようにそれが実行でき、成果につながること
結論から申し上げれば、これがモチベーションを上げる秘訣です。

そもそも「こうしてみたい」「ああならいいのに」という考えは、どんな人でも持っているはずです。
思い込みや上からの抑圧など自由を制限するブレーキに阻まれてやりたいことが思うようにできなくなると、主体性はどんどん追いやられていきます。「どうせ言っても無駄」「言い出したら負け」といった学習がなされてしまうからです(心理学用語で「学習性無力感」といいます)

「こうやれ」「こうすべき」といった指示だけでは、実行力は備わっても主体的に考える力が身に着かないのはもちろんのこと、モチベーションとは他人が会社が上げてくれるものというように考える傾向が出てしまいます。「会社のせいで思うようにできない」「誰かや何かのせいで思うようにできない」と、抑圧を感じていればそれも当然と言えば当然ですね。

やる気のない部下の問題の根底にあるのは、実はこの部分なのです。
今からでも遅くはありません。どうなれば、満足なのかを部下と一緒に考えましょう。

自ら考え、相談、提案し、承認をもらって実行する
そして実行した結果、成果に繋がればやりがいがモチベーションとなり、再び自ら考えられるように。
この好循環が必ずできあがり、「自分のモチベーションは自ら創造し、上げていくもの」と考えられるようになっていくはずです。

モチベーションは自分で上げられる、ということに気づけば、人はちゃんとやる気を出してくれるようにできているのです。
「自分で考えて、実行し、成果を得ることは楽しいのだ」と部下に感じてもらえるサポートは、成功している上司に共通する仕事なのかもしれません。

共通の目的のもとで合意形成

主体的に考えるチームづくりはまず、「(一緒に)考えさせる仕組みを作る」ところから始まりました。

まず最初に考えることは「部下個人の」現状の問題を解決するための案です。不満を解消することが先決。その後、考える内容は「チームとして」どうなりたいのか、どうなれば満足か、という観点へと移行していきます。

個人個人の問題として考えていたものを、チームの問題として考えるよう引き上げる。
その際に大事になってくるのが合意形成です。

たとえば「私が不満に思うこと」と「他人が不満に思うこと」は相反するケースが多いと思います。同じく「満足に思うこと」も違っている。
人は自分の主観で物事を考えるのが常です。価値観は、一人ひとり違って当たり前。
しかしながら「チーム」という観点で物事を考えるときには、個人の価値観どうしを擦り合わせていく協力が必要になります。

協力のためには、ひとつの共通指針が必要です。
たとえば【一貫したリーダーの信念】をもとにチームの方向性(目的)を定める。
同じものを見ている人同士なら協力し助け合いやすくなります。

共通の思いや考えを共有できていれば、お互いを尊重し、思いやることができるはずです。
目的が明確なら、達成のために何が必要か、一人ひとりが考えられるようになり、考えるべき内容が明確になります。
価値観の違いをうまく活用して、さまざまな考えを引き出しながら「目的」というゴールに辿り着くために必要なあらゆる方向からのアイデアを集められるかもしれません。

いずれにせよ「共通の目的」のもとで、部下と一緒に何をすべきかの合意をとっていきます。

このチームをどうしていきたいのか、何に貢献するために働くのか、そのための役割やできることは何か…リーダーを筆頭に共通の目的を持っているチームは、一人一人が主体的に考えられますし、パワーが強いはずです。

まとめ

4つの要素をもとに「チーム力」を高めるための上司やリーダーの役割について考えてきましたが、すべての要素は「上司と部下の対話」をベースに進めなければなりません。信頼関係をつくり、自由に自分の考えを言える環境をつくり、一つの目的のために考えをまとめて実行することで、モチベーションを維持していく。

中でも特に信頼関係づくりと合意形成ができる力は、これからますます上司に求められていくスキルになっていくでしょう。

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