【人材育成】部下のパフォーマンスを上げるのは自分基準ではなく相手基準で考える

人を動かすということは奥が深いですね。
なぜかって、周りにいるのは自分と違う人ばかりだから。

いや、当たり前のことです。自分と同じ人がいるわけないし、周りにいる人がみな自分と似たような価値観や考えを持っているわけでもなく。ということは十人十色な【相手】をよく観察し、対話し、その人を知り、理解することにほぼほぼ終わりなんてないわけですよね。数が多すぎる。

でも、たくさんの人と会い、観察し、話を聞き、分析してみると「傾向」には似通った部分が出てくるなぁ…ということに気づくようになります。そうすると「この人はこういう行動をよく取る、こういう言葉をよく発する」といった行動パターンから相手の傾向を予測して「もしかしたらこういう風にアプローチすればパフォーマンスが上がるかも!?」という仮説を立てられるようになる。

部下を持つ管理職の皆さんなら、部下がどんなことを考えているのか?どうしたらパフォーマンスが上がるのか?どんなときにやる気が上がるのか?を知りたいですよね?

たとえば管理職の方からはよく「主体的な人材がほしい」と言われます。
主体性とは自分の意思でやるべきことを考え、行動できることを言います。それと似たような言葉に自主性がありますが、これは決まったやるべきことを「やれ」と言われる前に自ら進んで行動できること。
主体的な人材を求めているということは、「やるべきことを”自ら考えて”行動してほしい」ということですよね。

でも、いいチームとは本当に主体的な人材の集まりなのでしょうか?
また「経験を積んでいるのだから、やるべきことくらい自分で考えて」という上司の願いは本当に正しいですか?

新人さんであっても、もともと持っている資質で「こうしたい」「こうした方がいい」というアイデアがポンポン出てくる人もいるかもしれないし、たとえ経験はあっても、言われたことはできるけど「何をやるべきか」は自分で考えられない人もいるかもしれないのです。

「うちの部下たちは主体的じゃないから…」「もっと主体性を持ってほしい」と嘆くのは、上司であるあなた自身がラクをしたい、もしくはあなた色に染め上げた組織にしたいと思っているだけかもしれないですよ。

主体的でない部下であっても動かすことはできます。そのためにも部下の普段の行動パターンをよく観察し、主体性を持っているのか?それとも自主性を持っているのか?を見極めて、相手に合ったアプローチをしないといけません。

言われたことや決められたやるべきことは何も言われなくとも自ら進んでできる「自主性を持った部下」であれば、目指すゴールを明確にした上でそのプロセスまでしっかり明確にし、行動レベルにまで落とし込めばいいだけです。
目指すゴールやそのプロセスを一緒に考える経験を積むことで、自主的な部下は徐々に主体性を持てるようになる。これが主体的な人材を育てることですもんね。

一方「こうしたい」「これをやった方がいい」と主体的に考えられる部下ならば、「あれをやれ」「これをやれ」と細かく指示や指摘を出したり、出てくるアイデアを否定するのはNGです。それこそ部下の主体性を奪いかねません。

たとえば、上司の言うことなんて全然聞かず非協力な態度を取っている部下が、放っておくとやるべきことを先読みし、進んで行動して結果を出してくるケースがあります。
上司から見ると可愛げがないのでいろいろ指摘したくなるかもしれませんが、この部下は「主体的な人材」なんですよね。非協力な態度を使って自分の主体性を主張していたのだと考える方が得策です。

その他にも、上司から見て「理解できない」「何を考えているかわからない」と感じる部下の方が自分の主張を持っている可能性は高いと言えます。
素直じゃない、言うことを聞かない、やるべきことに文句を言う…こうした部下には自分の考えが絶対にあるのです。部下の主体性を潰しているのは上司であるあなたかもしれない、ということなんですよね。

部下のパフォーマンスを上げるのは、上司の仕事です。
「主体的な部下がいない、育たない」事態を招いているのはもしかしたら自分かもしれない…そう焦ったなら、やるべきことはただひとつ。感情をできるだけ排除して部下をよく観察し、対話をし、行動パターンを分析して、あくまでも相手に合ったアプローチでパフォーマンスを上げてあげることです。

部下はあなたとは違います。
自分基準でチームをまとめようとすると、うまくいかなくなってしまいます。

 

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