「これをやってほしい」と頼んだ仕事が終わっていない、中途半端。求める期日を平気で過ぎてくる部下。納期意識や段取り力の高い上司は焦ります。
なぜ期日までに仕上げられないのだろう?なぜ中途半端で終わらせるのだろう?
仕事を依頼し、任せているのに、いつまで経っても自分で考えてくれない…
主体的に考える部下を育てるに当たって、指示だけでも、仕事をただ任せるだけでもダメなんだというお話は以前にもさせていただきました。目的やゴールをしっかりと明確にし、共有し、その枠の中で自由に考えさせてあげること。何よりも目的そのものを上司がしっかり持っているか?という前提が大事ということです。
でもゴールを明確にしているのにもかかわらず、いつまで経ってもどれだけフォローをしてもプロセスを導き出せないとか、求めるものとまったく違う結果が返ってくるとしたらどうでしょうか?
それは…心が折れますよね(笑)
新人じゃあるまいし、と投げ出したり諦めたりしたくなって、結局は部下に任せた仕事を自分が代わりにやる羽目になり「なんで自分が尻拭いを?」「やっぱり自分がやらなきゃダメなんだ」とか思っていませんか?
頭ではわかっておられると思います。自分と部下は同じではないということ。
自分が育った成長過程と同じプロセスを部下がたどるとは限らない…
だからその時はやはり枠を小さくしてあげることも必要だということなんです。
それは場合によっては新人と同じように「一緒にやってあげる」「答えを見せてあげる」ことになるかもしれません。
ここで「どうしてわからないの?」「なぜこう考えられない?」という【部下への期待】を裏切られたような気持ちになるかもしれません。もう◯年目なんだし、このくらいはわかるはずなのに…という感情です。
でもそれってもしかしたら「自分がそのくらいの時はこうしていたのに」「自分ならそうは考えないのに」といった、自分基準での指導になっているからではないでしょうか?
成長してもらうためには、できるだけ感情を抜きにして”部下の”できていない理由を”こちらが”結果から見極めて、必要なアプローチをしてあげないといけないんですね。それがたとえ【これじゃまるで新人と一緒じゃないか】とこちらが感じたとしても、です。
それはつまり基準を全て”相手”に置いて考えることなんですよね。
成長プロセスでの一番の邪魔者はきっと【自分基準】です。それを相手に求めているから期待を裏切られたような感情が出てくる。だから、自分と相手は違うんだということを育成者はいつも頭に置いていないといけないんですよね。
「なぜできないのか?」「どうなったらできるのか?」を相手に考えさせるよりも先にこちらが考えて、仮説であっても常に答えを持っておくこと。自分基準で考えていたらいつまでも答えは出ません。だから部下は育ってくれないのです。
自分の基準は一旦捨てて、あくまでも”相手の基準”で考え、足りない部分をフォローしたり、時には一緒にやってみて、相手の進度に合わせたアプローチをし続ける。そこまで深く関わることこそが本当の育成なのだと思うのです。