チームクリエーションは、店舗運営サポートとして販売戦略等のアドバイスもしていますが、よくある戦略として日常的に使われている手法として「販売実績の個人対抗戦」を行うことがあります。
私も会社員時代には、個人の実績をランキング形式にしてモチベーションアップや評価の参考に使用していましたが、このやり方は、使う目的を間違えると命取りになることがあるのです。
あるお店では、店舗の販売実績が伸びなくなると決まって、「個人対抗戦」を行っていました。
個人戦の期間中は、一人ひとりのその日の売り上げが貼り出され、
お店の雰囲気も殺伐としていて、実績に応じて、皆が一喜一憂。
「勝つ」ために実績をあげなくては…という気持ちになっていた、とのこと。
それでも、期間中の目標を大きく上回る実績を上げていきます。
そして、個人対抗戦が終われば「勝つ」必要がなくなるため、モチベーションが下がり、実績は低迷。
再び「個人戦をやろう」ということになる。
この繰り返しだったようです。
何か、気づきましたか?
そうですね。
個人対抗戦の本来の目的は、「お店の実績を上げる」ことであるはずなのに
各々が持っている目的が、個人対抗戦で「勝つ」こと、にすり替わっているのです。
戦略としては、完全に失敗ですね。
期間中、実績は上がるのにも関わらず、なぜこのやり方が失敗なのかというと
実績が低迷していることの解決を対抗戦に求めているところです。
本来、チームとして戦うべき相手は同じチームの中にはいないはずです。
一時的に取り組むのは別としても、それが常習化すればチーム内の雰囲気は悪くなる一方です。
さらにもっと重大な問題は
▼ 競争がツライ、嫌だ、と感じさせてしまう
▼ 「対抗戦(内部の競争)は実績を上げるために必要だ」という共通認識を持たせてしまう
▼ 数字を上げることが、このチームの最重要評価項目になる、という雰囲気が生まれる
▼ 数字を上げられないと、チームに貢献できないという空気が流れる
ここから、「思い込み」というブレーキも、生まれやすいんです。
たとえば、数字を出さないとチームに貢献できないという認識が
もしチームが結果を残しても、利益が出ても、
自分は数字を出していないから自分に関わりがない、関係ないと感じさせてしまう、とか。
数字を出さなければ、自分の存在意義がない、と感じさせてしまう、など。
こうなれば、スタッフ一人ひとりの意識がガラガラと崩れ、
チーム全体に悪影響を及ぼしていくことになりますね。
チームとして数字を上げる、という目的のために、
「数字を上げることだけが、チームへの貢献ではない」
という共通認識を持てる雰囲気作りが大切です。
真逆の発想に見えるかもしれませんが、非常に大事な戦略です。
▼ 直接数字に結びつくとは考えにくい内容の仕事でも、チームに貢献できる要素はないか?
▼ その要素、仕事内容を「得意分野」としているスタッフに、積極的に促進できないか?
▼ 楽しんでいないように見えるスタッフの得意分野と、その要素を合致させられないか?
この考えで、チームリーダーが積極的に動けば、
スタッフ一人ひとりのモチベーションが上がり、
それぞれが「得意分野」で楽しんで仕事をするとき、おのずと結果、数字が上がる。
という仕組みを作ることができますよ。