自分の弱さを受け入れ認める”強さ”

幼少時代の私は喘息持ちで、小学校3,4年の頃は出席日数ギリギリで進級していました。マラソン大会ではぶっ倒れ、林間学校の山登りは命がけ。親に迷惑をかけたくなくて、夜中に発作を起こしても、自分の部屋の窓際で朝になるまでじっと耐えていたような子供でした(発見され次第、怒られる…笑)

子供ながらにコンプレックスを抱えた時期もありました。自分は人と同じことができない。でも同時に、受け入れるしかないという覚悟みたいなものもあったような気がします。この体と付き合っていくには、できないことも迷惑をかけることも受け入れて助けてもらわないとダメな時があるんだと。

成長に伴って少しずつ回復し、学校を休むことも少なくなった中学生の頃、当時仲良くしてくれていた近所の年の離れたお姉さんにそんな話をしたことがあったんですよね。その時お姉さんが言ってくれた言葉を、私は今でも忘れることができずにいます。

それが『自分の限界を知っているというのは強いことなんだよ』という言葉です。

頑張り屋さんだから、あなたは周りに迷惑をかけないようにと振る舞うのだろう。でも「人の助けを借りなければいけない」と思えるのは実は強いことなんだ。大人でもなかなか、そんな風には思えないんだよ?と。
当時は深い意味はわからなかったけれど、すごく嬉しかったのを覚えています。

 

その後体調はすっかり回復し、発作もほぼ起きなくなって、お姉さんが言ってくれた言葉は頭の片隅に追いやられました。やっぱり「自分が」頑張らなければならない…という思考に逆戻り。

30代半ばまでその思考はべったり染み付いていましたが、今となっては病弱だった小学生の頃の自分の方がよっぽど強かったな、と思います。いい意味で前向きに自分の弱さと向き合い、自分の限界を知っていた。悔しさを噛み締めながらできないことを受け入れるしかなかったけど、その分「助けてほしい」と言い出す勇気を持っていたということですから。

お姉さんが「大人でもなかなかそうは思えない」と言っていた意味が、本当によくわかりました。

自分の限界を超える努力は絶対に必要だと思うし、勤勉で真面目な人ほどそこにかける労力は惜しまず、ひとりで抱え込んで精一杯仕事をしています。

でもどんな人にも、人ひとりの力には限界があります。
どんなに努力しても時間や労力をかけても、すり減るばかりで思うように結果が出ない時や伸び悩む時、ポキっと心が折れてしまうような時は、自分の限界を認め受け入れて、人の力を借りるという思考にシフトする勇気を持たないといけないのかもしれません。

自分ひとりで背負って頑張ろうとしているから、思うように結果が出ないのだということに気づくべき時が来たということです。

こんな風に、できない自分を受け入れることは思う以上にパワーがいります。
だからこそあの時お姉さんは「強い人なんだ」と言っていたに違いありません。

 

自分の限界を超えるためには「このために頑張る」という目的意識を持ち続けることが必要ですが、人の力を借りるのであればなおさら「なぜ、何のためにそれをやるのか?」という目的は必須です。目的のないところに人は付いてきてはくれないからです。

しっかりと目的を定め、それを周囲に伝わるように浸透させ、自分の弱さや限界を受け入れた上で「一緒にやってほしい」「力を貸してほしい」と言ってくれる会社や上司、先輩なら、付いてきてくれる部下や仲間が必ず出てきます。

本当の意味で強い人になるためには、そして今よりもっと大きな結果を残すためには、
まず自分の限界を認め受け入れる勇気を持つことが必要なのかもしれません。

 

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