【共育】コラム

人間関係って疲れる…職場での「理解不能」に対処する

相手の話を聞いても「う〜ん、そうなのかなぁ?」とハラオチできなかった。
先輩、上司、あるいは部下の言っていることに対して「は?何を言っているの?」と全然理解できない。
こうした経験はきっと誰にでもあると思います。状況によっては「毎日そんな感じですよ…」と嘆いている方もおられるかもしれません。

ですが振り返ってみると、その時は理解できなかったことでも、数日、数ヶ月、もしくは数年経って「あの時の言葉ってこういうことだったのか!」と、急にストンと落ちてきたという経験もあったのではないでしょうか?これは、逆の立場(自分が伝える側)であっても同じで、たとえ「今は」皆さんの言葉が相手に届いてないのでは?と感じたとしても、のちに相手が理解してくれる時が来るかもしれないということを意味しています。

そうは言っても、相手の言うことが理解できない、もしくは自分の言葉を理解してもらえないというのはしんどいですよね。イライラしたり、落胆したり、感情に振り回されて疲れてしまいます。上司と部下、会社と個人、などといった関係性の中で「理解できない」という状況に陥る時、人の頭や心の中では一体何が起きているのでしょうか?また、どうすれば理解し合えない状況を解決できるでしょうか?

事例を踏まえて考えてみたいと思います。

「そんなことが普通に言えるなんて」恩師に向けた怒り

私自身の例で恐縮なのですが、高校1年の時に母を亡くした時のことです。
当時ものすごく尊敬していた英語の先生がいて、喪中明けに登校したその日に声をかけてくださったんですね。その第一声で先生は「そうだな…”運命”だったんだな」とおっしゃいました。今でも忘れられないくらい本当に衝撃でした。ショックで、という意味でです。【恩師は母の死を「運命」で片付けた…】当時の私は先生の言葉をそんな風にネガティブに受け取りました。

そして高校を卒業し、社会人になって数年後。営業の仕事をしていた頃にある時ふと、思ったんです。
『母の死は確かに、運命だったのかも。そしてあの時先生は、私にかける言葉を選んで、少しでも早く現実を受け止められるよう励ましてくれていたのかも』と。

何年もかかりましたが、私は先生から受け取った言葉の意味をフラットに、そしてさらにプラスの方向に向け直すことができるようになったという例です。

なぜ、相手の言葉をフラットに受け止められなかったのか?

身内の死という突然の変化を受け止めることができず、辛い、苦しいなどの感覚すらわからなかった子供の私は、「死は、運命なんかであるはずがない」という【前提】を持って先生の言葉を受け取りました。

ですが時が経ち、状況も環境も関わる人たちも変わり、物事を少し広い視点で見ることができるようになった時、悲しみも喪失感も寂しさもまるっと含めて「運命」とやらを受け入れられるようになったのだと思います。当時持っていた【前提】が変化して、その言葉を受け入れても苦しくならずに済むようになった、ということだと考えられます。

言葉にはいろんなものが込められています。魂、想い、感情、思想…また、同じ言葉でも言い方によってニュアンスが変わったり。「発する側」がそうした意図を持っていても、持っていなくても言葉に込められたものは必ず伝わってしまいます。ですが実は「受け取る側」にも意図はあります。価値観、信念、想い、感情…こうした前提によって、その時の自分に都合がいいように受け取ってしまうんですよね。

私の例で言えば「運命だった」という相手の言葉を素直に受け取ってしまったら「運命であるはずがない」という自分の前提が崩れてしまう。そのときは無意識でしたが、必死に抑えていた喪失感や寂しさを抑えようとしているのに、そういう自分が崩れ去ってしまう。だから「怒り」の気持ちで言葉をフラットに受け止めようとしなかった、ということになります。

相手の言葉が理解できない時に、考えるべきこと

「いや、違うと思うんだけど?」とか「は?そんなのありえない」など相手の言葉の意図や目的を理解できない時に、相手の真意を正確に思い巡らすのは正直難しいですが、「自分はどう受け取りたいのか?」を考えることは比較的容易にできます。なぜなら《何かが引っかかっている》からこそ素直に受け取ることができないのです。

・本当はどう言って欲しかったのか?
・その言葉の「何」が引っかかったのか?

こうしたものを深掘りすると、今持っている【前提】がきっと、見えてくると思います。

その前提はフラットですか?前向きですか?極端に偏ったりしていないですか?
どうであれ、前提はいつでも変えられます。前提が変わると、見えるものも聞こえるものも今とは全然変わってくるはずです。
「納得できない!」気持ちに隠れている前提を、ぜひ見つけてみましょう。

まったく理解不能な「部下の対応」

もう少し、職場でありがちな事例を考えてみましょう。

管理職であるAさんは、部下のBさんに伝えたい要件があり、外出先から電話をかけたところ、「Bさんは別件対応中で出られないため折り返しで良いですか?」と言われたのでコールバックを待っていました。
そして数時間後。Bさんからの折り返しの電話の際、Bさんは上司であるAさんの要件を聞くよりも先に自分の用件を話し始めました。
Aさんは、部下のこうした対応にいちいちイラッとしてしまい、自分の感情をどう処理すればいいのかわからなくて…と悩んでおられます。

ほんの小さな「気遣いのなさ」かもしれませんが、社会人としてはちょっと残念な電話対応ですね。仕事ができる上司ならばなおさら、部下の足りない部分が気になってしまうのはものすごいよくわかります。

上司は「価値観」と「感情」を分けて考えた

この事例の上司Aさんのすばらしい点は「価値観」と「感情」を分けているところです。
折り返しの電話は先に用件を聞くべきという社会人の常識(価値観)と、それが身についていないことに対してイラッとしたという(感情)を、しっかり別個にして考えておられるからこそ、「部下の残念な対応」に対してではなく「イラッとした自分の感情」に対して悩んでおられる、ということです。

普通はこの部分を、ごっちゃにして考えてしまいがちです。そうなると、部下に指導や指摘をする際「ありえないでしょ?」とか「普通は人の話を先に聞くものでしょ」など、自分の感情(わかってほしい・なぜわかってくれない)を伴った言葉がつい口に出てしまいます。これでは相手の心は動きません。部下は育たない。さらに自分のイライラ感もぶちまけたところで収まるわけではありませんから、一つも良いことがないのです。

感情と価値観を分けて考え、上司や先輩がきちんと冷静に足りない部分の指摘をすれば、部下は新しい価値観やものの見方を手に入れ、成長できるはずです。では、イライラの感情を処理できない上司である自分はどうしたら成長できるのか?

この上司の方が悩まれたのはそこです。「どうやって感情をコントロールすればいいか?」という課題だったのですね。

自分の持つ【前提】を覆す出来事にイラっとしたら

イラッとした感情の背景には「こうあるべきなのに」とか「なぜ当たり前ができないの?」という、相手との価値観の違いが含まれています。これが【前提】ですね。そしてこの前提に基づいて「そうなっていない現実」に直面(同じ価値観を持っていない、または、自分の価値観と違う反応)したとき、イライラするという感情が働きました。

その前提を覆す出来事が起き、Aさんは「どうやって感情のコントロールをすれば良いのだろう?」と悩んでいます。
どうすれば良いでしょうか?

価値観と感情を分けて考える、もう少しわかりやすく「事実と感情を切り離してみる」というのはいかがですか?

自分の持っている前提や湧き上がった感情を切り離して事実だけを取り出してみると、「社会人として当たり前の電話対応ができていない部下」という姿が浮かび上がります。「その事実にどう対処すれば、部下はできるようになるのか?」を考えるのが事実と感情を切り離すことです。これがつまり感情のコントロール。感情に振り回されるよりもまず、対処を考えることの方を優先させることなのです。

そしてそのためには、イライラ・怒り・焦り・不安などのマイナス感情が働いた時に「自分はこういう前提で、相手(や物事)を見ているな」と理解していることが必要です。

ネガティブな感情をコントロールすると聞くと、イラッとしないようにするには?ポジティブに考えるには?ネガティブを抑えるには?などのイメージが先行しがちですが、実際には「切り離す」ことのほうが大事です。事実を客観的に取り出して感情と「分けて」考えられれば、感情に振り回されたり流される時間を「どうすれば状況を改善できるか?」と考える時間に充てることができるからです。

そもそも部下が「できて」いれば、イラッとしなくていいはず。
しっかりと「事実と感情を切り離し」部下が成長するためのサポートに思考を向けてあげることで、自身の感情の揺れ動きに客観的に対処することを考えたいですね。

最後に

2回の記事に分けて、人が持つ【前提】について考えてみました。
うまくいかない、思うようにならない、といった状況に直面すると、イライラ・怒り・不安などの感情が働き、どっと疲れてしまいますね。ひとまず深呼吸して少し冷静に考えてみると、そこには必ず価値観や背景など【前提】が隠れています。そしてそれは自分にも相手にも存在していて、前提に食い違いが発生する時に「イラッ」とするわけです。

まずは自分自身の前提をしっかりと見つめて理解し、相手の前提も理解するよう努める「相互理解」への姿勢を持つことは、ストレス社会を生き抜く一つの術だと思います。

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