人を上手に動かす上司は「動機付け要因」を作っている

皆さんは野球はお好きですか?
中でも高校野球は、選手の本気、監督の本気、応援の本気、それが伝わって来る試合にたくさんの感動があり、お好きな方も多いかもしれません。

恥ずかしながら私はこれまでウン十年間、野球には全く興味がありませんでした。ルールはともかく、ポジションがわからない。高校野球に対しては「甲子園はドラマチック」という誰かから聞いた、何かで見た情報を自分の中のイメージとして確立していたものの、その中身を自分の目で確かめることはしてこなかったのです。

そんな私が野球に興味を持ち、観戦し、楽しめるようになった今日のお話は、組織のマネジメントにおいて『人を動かす』ということがどういう意味を持つのかを考える参考になるはずです。

ポジションもわからない野球を観ることになったきっかけ

野球に全く興味のなかった私は、2年前の夏から甲子園をテレビで観戦するようになりました。そのきっかけは、私たちのメンバーの中に、無類の高校野球ファンがいてくれたからです。

「この高校は地区予選で〜〜」
「ここの監督はこういう指導方法で〜〜」
「この選手はドラフト候補で注目されていて〜〜」
「予想としてはこの高校が〜〜」

と、事前にわかりやすく前情報の解説をしてくれるわけなのですが、テレビやネットに載っている情報と違って、うちのメンバーの『高校野球が好き』という熱のようなものが伝わってきて「おぉ、ぜひその情報を実際に観て確かめてみたい」「次の試合を観るのが楽しみ」という気持ちが湧いてくるんです。

メンバーの熱が「試合を観る必要はない」と判断していた私の気持ちを動かし、事前にその熱がこもった詳しい情報を知ることで「観てみたい」という気持ちを呼び起こし、そして私は今までしてこなかった「試合を観る」という行動を取るようになりました。

関心がなくても「やってみる(観てみる)」ことで生まれる興味

どちらかというと私は今まで「自分の興味関心の世界」を広げることに消極的でした。「これは好き、でもこれはそんなに好きじゃない、もしくは別に興味もない」と、わりとすぐに決めつけていたように思います。

でもその判断基準はたいてい、上辺だけの情報や聞きかじった情報を使って自分の中で勝手に作り上げたイメージだったんだよなぁとも思います。

高校野球もそうですが、実は「最初は興味もなかったけど、知った(もしくはやってみた)ことで徐々に楽しくなり、関心を持つようになり、いつしか行動が変わった」という体験はわりと多かった…ということに最近気付き始め、自分の勝手なイメージだけで「関心がない」と決めつけないようにしようと心がけるようになりました。

人を動かすならば、この3つのステップを踏もう

組織のマネジメントにもこの仕組みが当てはまると言えます。

最初から「好き・得意」で仕事ができることはものすごく稀な話で、多くの人が「お金を稼ぐため」「生活するため」「義務だから仕方なく」のように感じ、仕事自体に興味や関心を持てる状態とは言えないかもしれません。

でも、より多くの情報を『知り』、その情報をもとに『やってみて』、少しずつ興味や関心が大きくなって『できるようになりたい』と思えるようになる。ということは、その仕事における「より多くの情報を知っている」先輩や上司は、後輩や部下にその情報を伝え、まずは『知ってもらう』ということが必要ですよね。

この時、私が高校野球に関するネットやテレビの情報では心が動かなかったのと同じで、「想いを乗せる」ことができなければ、後輩や部下の興味や関心を呼び起こすことはできないんじゃないかなぁとも思います。

後輩や部下の興味や関心を呼び起こすためのはじめの一歩『知る』というステップには、『この仕事は本当に重要なことなんだ』『この仕事をすることでこんなことが得られるんだ』『この仕事はこんな風に人の役に立てるんだ』など、先輩や上司それぞれの「想い」が乗った情報、未来のイメージが必須です。

部下が動いてくれない原因はもしかしたら、仕事に対する興味や関心を生ませるだけの「想いが乗った情報」を「伝える」という工程が抜け落ちている、もしくは不十分だからなのかもしれません。

人が動くには、興味関心という動機が必要

部下が動いてくれない、後輩のやる気が見られない…にも関わらず与えているのは「仕事だからやるのが当たり前」これではもう、人は動かないのです。マネジメントに求められるのは「人を動かす」こと。人が動くには興味関心が必要です。

この興味関心などを「動機付け要因」と言います。
人が考え、行動するために必要な原動力と言い換えられます。

部下はどんなことに興味を持っているのか?どのように考えれば関心を持てるようになるのか?どんな未来だったら「やってみたい」と思えるのか?

こうしたことをしっかりと考え、部下に見せてあげられる人は、上手に部下を動かしています。

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