「思考停止状態の部下」を作ってしまう上司の関わり方

「言われたこと、教えられたことをその通り実践する」
育成の第一歩は、日本におけるさまざまな「道」(武道・芸道など)で大切にされてきた「守破離(しゅはり)」という思想で言えば「守」の段階です。師から受けた教えを尊重し守ること。知識や技術を学び、それに忠実にやってみることですね。

もちろん大切なことです。何も知らない新人は「知ること・守ること」から始めなければ成長できません。

ですが、教える側があまりにも杓子定規的に「守る」ことばかりに重きをおくと、新人には「思考停止」を求めるようになります。
「いいからやれ」「とりあえずこの通りにすればいいから」
言い方を変えると、知識を学ぶ段階、実践する段階で考える機会を奪っているということ。これが通用するのは「その道を極めたい」という欲求の元に師弟関係が成立している場合だけだと思うんですよね。

社会人としての育成は「ズベコベ言わずに言われた通りにやる」ことから入り、その実践姿勢が評価され、会社や上司の方針に逆らわずに従うことに何の疑問も持たない人ほど出世したりします。

その結果、どうなるでしょうか?

「作業」のレベルが高く「仕事」のレベルが低い人が上に立ちます。

つまり、自主的に動くことはできても、主体的に動くことができない人が部下を持ち、チームを率いるんですね。考える必要がなかったから自分だけで判断することができない。自らアイデアを出したり未来を創造するのが苦手。「あなたはどう思う?」という質問に答えられない。などなど…

それで「そんなことは自分で考えろ」と言われるようになるのです。
考える機会を奪われてきた人が、今更どうやって考えろというのでしょうか?
とっても理不尽ですよね。

新人だって、1年後には先輩になり、ゆくゆくは部下ができるわけです。
その時に「自分で考えられない人材」になっていてほしくないですよね?

だからこそ、思考停止を要求する育成は最初からしない。

まずは作業の知識を学び、作業の楽しさを知る。
次は作業の目的を学び、目的のための目標を達成することに喜びを覚える。
そして作業目標の立て方を学び、目的との関連性を考える機会を徐々に増やして、最終的には「あるべき姿(=テーマ)」目的を考えられるようになる。

こんなステップで育成が出来たら理想です。

考える機会を奪われた”作業人間”を養成しないためにも、指導するだけでなく部下と一緒になって考えられる育成者でありたいですね。

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